着物をアートに仕立てる ‐サラ・オカベさん‐
オーストラリアで活躍する日本人にインタビューする【豪州の素敵な日本人】第1回。
サラ・オカベ(Sala Okabe)さん オーストラリア在住・着物スタイリスト
日本全国着物コーディネート大賞受賞。結婚式・各種イベント・撮影などで着付けやスタイリング。着物イベント企画、現地にあった着物ライフスタイルの提案など幅広く活動されています。
専業主婦から着物のプロへ
記念すべき第一回は専業主婦を経て「着物のサラさん」と呼ばれ、オーストラリアや日本でその道のプロとして活躍されているサラ・オカベ(Sala Okabe)さんのご紹介です。仕事や子育てのこと、そして彼女流のライフスタイルについてお話を伺いました。アートの街と言われるオーストラリアのメルボルンで感性を織り交ぜた遊び心いっぱいなサラさんの着物のスタイリングの世界観を写真を交えてお楽しみください♪ All Kimono Styling by Sala Okabe.
オーストラリアに来たきっかけ
パートナーのお仕事の関係でたまたまオーストラリアに移住されたそうです。
オーストラリアの子育て時代
―オーストラリアでの生活や子育てについて教えてください。
「移住当時は主婦だったので、子育てを中心に楽しむことにしました。オーストラリアでは、子連れのお母さんたちがとても楽しそうで、私もここで子育てしてみたいなと思ったんです。上の子が少し繊細な性格だったこともあり、子どもたちが小学校に入るまでの8年間は全力で子育てをすると決めて楽しみました。mixiでメルボルン在住の日本人ママ友を作ったり、懐かしいですね(笑)。」と当時を振り返って楽しそうに話してくださいました。
着物との出会い、そして着物ビジネスへ
―どうやって「着物のサラさん」として知られるようになったのでしょうか?
「ほんと、全部成り行きなんですよね(笑)」と笑うサラさん。もともと日本で着物の着付けを趣味で習っていたものの、海外で着物の仕事をするとは思ってもみなかったとか。それが、子どもたちが幼いころ、ふとしたことから着付けの依頼が入り始め、現地で着物ビジネスをスタートさせるきっかけに。知らないうちに着物の道に入っていた感じですね。」
下のお子さんが子が小学校に入学したタイミングで、着物販売をしていたご知人のビジネスを引き継ぎ、さらにオンラインショップを立ち上げ活動の幅を広げられ、アトリエもオープンされました。現在までパートナーと二人三脚で運営に励まれているそうです。
着物をもっと自由に、日常に
―サラさんの着物スタイリングは、自由な発想が魅力的ですが、どのようにスタイルを作り上げているのですか?
「大切にしているのは、伝統や和の常識にこだわりすぎないことですね。海外で無理に和風にしようとすると、着物が浮いてしまうこともあるため、むしろ着る人の個性を現地の雰囲気を大事にしています。例えば、お客さんが着物を前後逆に着たり、コートのように羽織ったりと、接客の中からも海外ならではのユニークなスタイルが生まれたりすることもあります。その場のインスピレーションで自由に帯を結んだりして、あえてルールにとらわれない着付けを楽しんでいます。」
「メルボルンのアーティストとコラボし、マーケットやイベントにも積極的に参加しています。常に自分をブラッシュアップし、新しい風を取り入れていきたいですね。」と語ってくれました。
実は、着物は「逃げ」なのです
―着物、お好きですか?
「好きですね〜!普段から着物に触れていますよ。実は、私にとって、着物は『逃げ』でもあるんです(笑)」と語るサラさん。「ドレスを着るとどうしても西洋人の体型に比べて見劣りしてしまうんですが、着物はもともと日本人に合わせて作られているので、自然と美しく見せてくれるのです。普段から着ていれば馴染んでくるし、逆に日本人であることがアドバンテージになるって素敵だと思いませんか?」と。確かにサラさんの着付けを見ていると、どんなシーンにも馴染む着物の無限大の魅力が感じられます。
夢はなんですか?
―ここに来るまで大変なこともあったと思うのですが、サラさんの夢はなんですか?
「山も谷も沢山あったと思うんですが、忙し過ぎて忘れてしまいました(笑)。過ぎてみればいい想い出でで、ずっと充実している感じですね。いつか本を出版してみたいですね。海外で着物ビジネスをしていると様々な珍事件が起こるので、そういったことをまとめて綴った本にしたいです。」と、終始楽しげに話してくださったサラさん。
インタビューを終えて
海外に暮らしながらも毎日着物に触れるという日々の積み重ねからは着物への強い想いが感じられました。そして、アートのような独創的な着物のスタイリングからは、自分と周りを受け入れながら流れに身を任せ、全てをやんわりと包んで融合させるサラさん自身の懐の深さが表現されているように思えました。サラさんの珍事件本の出版も楽しみに待ちたいと思います。
こちらのインタビューは2022年に私が日本の雑誌のコラム執筆をした際にサラさんに突撃インタビューをさせていただいた時の内容をアレンジして書き起こしています。画像は全てSalaさんからお借りしています。
サラさんのオンラインショップVintageJapanTextiles (Etsy)はこちらから。ビンテージ物の着物や小物が豊富に揃っているのでぜひ覗いてみてくださいね。
サラ・オカベ(Sala Okabe)さんのInstagramはこちらからどうぞ。
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