家族移住しフリーランスに|シンクレア 樹理さん

オーストラリアで活躍する日本人にインタビューする【豪州の素敵な日本人】第3回。
Webデザイナー シンクレア 樹理 (Juri Sinclair)さん
今回ご紹介するのは、まさに今あなたが今読んでくださっている「オーストラリアガイド」のWebサイトを制作をお願いした、フリーランスのWebデザイナー、Juriさん。
2019年に最初にお会いした時に聞いた「1日2時間、コツコツとビジネスを積み重ねてきて、気がついたら10年近く経って形になっていたんです。」という言葉は今でも覚えています。努力は裏切らないのだ、と当時起業直後だった私は感銘を受けました。現在もフリーランスとして、13年活躍されている彼女のストーリーです。
家族の「希望」を胸に、オーストラリア家族移住
―なぜオーストラリアへ?
2012年、NZ出身のご主人と生後間もない長女と共に、日本からオーストラリアのメルボルンへ移住したJuriさん。日本ではすでにWeb業界で5年のキャリアを積んでいたものの、当時は「夫の夢を実現するなら今しかない」と思い切ってオーストラリアへ移住する決断しました。
ニュージーランドと日本人の子どもを日本で育てていく将来がイメージできなかったんです。オーストラリアへの移住は、私にとっても“希望”でした。
―オーストラリアでの暮らしはどうですか?
現在は、メルボルン郊外の庭付きの家で、鶏を放し飼いにしながら野菜や果物を育てるナチュラルな暮らしをしています。一方で、メルボルンの街中ではおしゃれで日本の食材も手に入りやすく、自然と便利さのバランスがちょうど良いのが気に入っています。そんな暮らしの中で感じる文化の違いもまた、新しい視点のヒントになりました。

試行錯誤したオーストラリアでのキャリア
―オーストラリアでのキャリアはどうでしたか?
最初から順風満帆というわけにはいかなかったですね。日本時代のつながりで受けた仕事から始まり、地元でクライアントを獲得しようと試行錯誤の連続でした。ターゲットを広く取りすぎて、自分の強みがぼやけてしまっていた時期がありました。
―何か転機はありましたか?
ありました。もがく中で転機になった出会いが、日本のお米屋さんのオンラインショップ立ち上げの仕事です。「商店街や小さな工場をデジタルで支援したい」という自分の目標にぴったりで、「これだ」と確信が持てたのです。
その後は「オーストラリアの日系ビジネス支援」という軸に絞り、コロナ禍にはWordPressの使い方を個別レッスンで提供するなど、柔軟にスタイルを変えながら事業を続けてきました。
海外でキャリアを築くために必要なこと
―13年フリーランスとして活躍されていますが、海外で働くためのアドバイスをお願いします。
私の経験から言うと、ターゲットは絞った方がいいです。自分の軸ができることで、無駄な葛藤が減ります。でも同時に、“なんでもやってみる”ことも大事。ひとりビジネスは引き出しが多いほど強い。回らない時期も乗り越えやすくなるんです。
―仕事のやりがいは何でしょうか?
実際、個人事業主として始めたクライアントが法人化するなど、ビジネスを成長させていく姿を見られることが、一番のやりがいです。
オーストラリアは、合理的に楽をする文化
―オーストラリアでカルチャーショックはありましたか?
オーストラリアでは“楽をする”ことに後ろめたさがなく、身近な場面でも“合理性”を大切にする文化を感じます。昔は驚いたことも多かったですが、今はそれを見習いたいと思うようになりました。効率的で柔軟な発想は、ビジネスにも日常にも活きています。
デジタルに不慣れでも安心して相談できる存在でありたい
―どんなビジネスを目指していますか?
私が目指しているのは、“まちのウェブ屋さん”のような存在です。デジタルに苦手意識がある方でも気軽に相談できる、そんな場所を作りたいと思ったんです。実際にはWordPressやShopifyを使って、Webサイトの制作から改善、運用まで幅広く対応しています。
さらに、GoogleアナリティクスやSearch Consoleを活用したデータ分析も得意とし、見た目だけではなく「成果が出るサイトづくり」を意識。長年の経験と信頼関係を武器に、クライアントの“いま”だけでなく“未来”を見据えた提案を行っています。

この「オーストラリアガイド」と私のビジネス「MEO Marketing」のWebサイト製作は、Juriさんにお願いしました。
7 Pockets ‐ 経営者の視点
– Juriさんが経営者として、今の時代に必要だと意識している考え方はありますか?
「7 Pockets| 7つの収入源を持つこと」
収入の柱を7つ持つことでリスクを分散し、経済的安定を持続可能なものにしていく、という考え方をベースに事業も構築しています。コロナ禍以降、更にそういう危機管理をする経営者が増えてきたのではないでしょうか。日本語だと「7つの財布」というような言い方もするようです。移り変わる時代の中で重要になってくる考え方だと思っています。
頼れる“まちのウェブ屋さん”として
日系ビジネスのすぐそばで、デザインと分析の力を武器に進み続けるJuriさん。最近では、MelFami(メルファミ) | メルボルン子育てひろばというメルボルンの日本人ファミリーの拠り所となるコミュニティ運営の、創設メンバーでWebの担当としてもボランティア活動をされています。
自然体の暮らしと柔軟な働き方を両立させながら、これからも「相談できるウェブの専門家」として、地域に寄り添う心強い存在でいてくれることでしょう。

月並みの言葉だけれど…努力は実る!
2020年にビジネスを立ち上げた当初、Webサイト制作の知識がなかった私に、JuriさんがWordPressの使い方を根気強く教えてくれた時期があって、今の私があります。“やりたい気持ち”にそっと寄り添いながらも冷静に合理的な判断でアドバイスや制作のバックアップをしてもらった彼女には足を向けて寝られません。今でも定期的にお互いの近況報告をするような、メルボルンのWeb仲間のような頼れる存在です。
私も、特にコロナ以降はビジネスは複業の方が安定すると強く感じており、実際に複業をしていますが、Juriさんから「7 Pockets」の話を聞いて、目指すべきところは数個ではなくて7つだとインスパイアされました。時に、目標は高いほどやる気が出ることもありますね!
私のようにオーストラリアで起業やフリーランスを目指す方にとって、Juriさんの言葉がヒントや励ましになりますように。
今後も活躍の場を広げていく“まちのウェブ屋Juriさん”に、ぜひ注目してみてくださいね。


